ゴーストレストランとは?なぜ消費税1%で急増する可能性があるのか

ゴーストレストランとは?なぜ消費税1%で急増する可能性があるのか 話題・トレンド

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「ゴーストレストラン」という言葉が注目を集めています。

名前だけ聞くと少し怪しげですが、もちろん幽霊が出るレストランという意味ではありません。

ゴーストレストランとは、基本的に客席を持たず、デリバリーを中心に料理を販売する飲食店のことです。

コロナ禍でデリバリー需要が急増した際にも注目されましたが、ここにきて再び存在感を高めています。

その大きな理由の一つが、政府が打ち出した「飲食料品の消費税率を現在の8%から1%へ引き下げる」という方針です。

店内で食べる外食は10%のままなのに対して、デリバリーやテイクアウトは1%になれば、両者の税率差は9ポイントまで広がります。

なぜそれがゴーストレストランへの追い風になるのでしょうか。

そもそもゴーストレストランとはどんな店なのか、普通の飲食店との違いやメリット・デメリットとともに見ていきます。

ゴーストレストランとは?客席のない「ネット上の飲食店」

ゴーストレストランの最大の特徴は、一般的な飲食店のような客席を必要としないことです。

料理を作る厨房は存在しますが、基本的には客が来店して席に座り、料理を食べることを想定していません。

注文はフードデリバリーサービスなどを通じて受け、調理した料理を配達員が利用者の自宅や職場まで届けます。

つまり、利用者からすると「スマートフォンの中にあるレストラン」のような存在です。

街を歩いていても、その名前の看板を掲げた店が見つからないことも珍しくありません

そのため「ゴースト(幽霊)」レストランと呼ばれています。

一つの厨房から複数の店を営業することも

さらに興味深いのが、一つの厨房から複数のブランドを展開できることです。

例えば実店舗では豚丼を販売している飲食店が、デリバリーアプリ上では別の名前でアサイーボウルや麻辣湯などを販売することもできます。

利用者から見れば、

「豚丼専門店」

「アサイーボウル専門店」

「麻辣湯専門店」

という別々の店に見えても、実際には同じ厨房で調理されているケースがあるわけです。

これもゴーストレストランならではの特徴です。

一つの厨房を使って複数のブランドを展開できれば、新しい料理や流行の商品を比較的低いコストで試すこともできます。

なぜ今ゴーストレストランが注目されている?

ゴーストレストラン自体は、2026年になって突然登場したものではありません。

日本でもコロナ禍にフードデリバリーの利用が急増し、それに合わせてゴーストレストランが広がりました。

しかし、現在再び注目されている大きな理由が、飲食料品にかかる消費税の引き下げです。

政府は、現在8%となっている飲食料品の消費税率を、2027年4月から2年間、1%へ引き下げる方針を示しています。

一方、飲食店での店内飲食は現在と同じ10%の標準税率が適用される見込みです。

つまり、

・スーパーやコンビニなどの飲食料品 1%
・テイクアウト 1%
・デリバリー 1%
・飲食店での店内飲食 10%

という大きな差が生まれる可能性があります。

なお、飲食料品の消費税1%への引き下げは政府方針として示されている段階で、関連法案はまだ成立していません。

今後の国会審議によって内容が変更される可能性がある点には注意が必要です。

消費税1%になるとなぜゴーストレストランが有利なのか

現在でも店内飲食とテイクアウトでは消費税率が異なります。

店内で食べれば10%、テイクアウトやデリバリーなら軽減税率の8%です。

ただし、その差は2ポイントしかありません。

ところが軽減税率が1%になれば、

「店内飲食10%、デリバリー1%」

となり、税率差は一気に9ポイントへ広がります。

例えば税抜1000円の商品で単純に比較すると、消費税8%なら1080円ですが、1%なら1010円です。

1品なら70円の違いですが、家族数人分を注文すれば差はさらに大きくなります。

もちろん、実際の販売価格が減税分だけそのまま安くなるとは限りません。

それでも店内飲食とデリバリーの税率差がこれまでより大幅に広がることは、消費者の選択にも影響する可能性があります。

「店まで行って食べるより、自宅で注文しよう」

と考える人が増えれば、ゴーストレストランにとって大きな追い風となります。

普通の飲食店よりゴーストレストランが有利になる理由

税率だけがゴーストレストランの強みではありません。

通常の飲食店を営業するには、厨房だけでなく客席、トイレ、レジ、接客スペースなどが必要になります。

当然、それだけ広い物件が必要です。

さらに客を案内したり、注文を受けたり、料理を運んだりするホールスタッフも必要になります。

ゴーストレストランなら、こうした設備や業務の一部を省くことができます

すでに厨房を持っている飲食店なら、営業時間や厨房の空き時間を使って別ブランドの商品を販売することも可能です。

例えば昼間は通常の飲食店として営業し、夜間は同じ厨房からデリバリー専門ブランドの商品を販売するといった使い方も考えられます。

新しい店舗を一から作るよりも低いコストで新しい市場に参入できるのは、大きなメリットです。

ローソンも約1600店舗でゴーストレストランを展開

ゴーストレストランというと、小さな飲食店やデリバリー専門業者を想像するかもしれません。

しかし、すでに大手企業も本格的に参入しています。

代表的なのがローソンです。

ローソンは2021年11月、東京都内の1店舗でゴーストレストランの実験販売を開始しました。

その後、サービスを全国へ拡大し、2026年7月時点では45都道府県、約1600店舗まで導入しています。

ローソンの場合、店内にある厨房を利用します。

そこで調理した商品を「ローソン」という名前ではなく、「マチの中華食堂」「マチの洋食屋さん」など別のブランドとしてデリバリーアプリに掲載しています。

つまり利用者からすると、コンビニで作られている料理ではなく、一つの飲食店ブランドとして表示されるわけです。

ローソンによると、ゴーストレストランを導入した店舗では、店内調理商品の売上が導入前と比べて約1割伸びたといいます。

特に通常の飲食店が営業を終えた後の深夜帯に利用が多く、朝食や昼食需要を中心に使っていた店内厨房の空き時間を有効活用できるメリットもあります。

コンビニとゴーストレストランは、一見するとまったく違う業態に見えます。

しかし「すでにある厨房を使って新しい売上を作る」という意味では、非常に相性のいい仕組みなのです。

外食企業にとっては消費税1%が大きな転換点になる可能性も

飲食料品の消費税が1%になった場合、影響を受けるのはゴーストレストランだけではありません。

むしろ大きな影響を受ける可能性があるのが、従来型の外食産業です。

スーパーで買う食品は1%。

コンビニで弁当を買って持ち帰っても1%。

飲食店から料理をテイクアウトしても1%。

デリバリーで自宅まで届けてもらっても1%。

ところが同じ料理を店内で食べれば10%です。

もちろん外食には、料理だけでなく店の雰囲気や接客、出来たての料理をその場で食べられるという価値があります。

そのため税率だけで外食が選ばれなくなるとは考えにくいでしょう。

それでも物価高が続き、消費者の節約志向が強くなれば、9ポイントという税率差は無視できないものになります。

そのため既存の飲食店でも、店内営業だけに頼らず、テイクアウトやデリバリー、さらにはゴーストブランドを強化する動きが広がる可能性があります。

ゴーストレストランは本当に儲かる?デメリットもある

ここまで見ると、ゴーストレストランは非常に効率のいいビジネスに思えます。

しかし、もちろん弱点もあります。

デリバリーには手数料がかかる

最大の問題の一つが配送コストです。

ゴーストレストランは客席やホールスタッフなどのコストを減らせる一方、料理を客のところまで届けなければなりません。

外部のフードデリバリーサービスを利用すれば、そのための手数料も必要になります。

そのため消費税率が1%になったからといって、その分がそのまま飲食店の利益になるわけではありません。

原材料費、人件費、容器代、配送関連費用などを考えれば、ゴーストレストランなら必ず儲かるという単純な話ではないのです。

ゴーストレストランについて、SNSなどで特に多く指摘されているのが「衛生面は大丈夫なのか」という問題です。

ゴーストレストランの衛生面は大丈夫?SNSで不安の声も

通常の飲食店であれば、利用者は店舗の外観や店内の様子を見ることができます。

厨房まで見える店は少ないとしても、「どのような場所で営業しているのか」はある程度確認できます。

ところがゴーストレストランの場合、利用者が目にするのはデリバリーアプリ上の店名や料理の写真が中心です。

実際の店舗を訪れることがないため、料理がどこで、どのような環境で作られているのか分かりにくいという特徴があります。

厚労省の研究でもシェアキッチンの衛生管理を指摘

こうした不安は、単なるSNS上のイメージだけとも言い切れません。

厚生労働科学研究の報告では、ゴーストレストランやクラウドキッチンについて実地調査が行われています。

その中では、壁で区切られ、それぞれのゴーストレストランが営業許可を取得するタイプのクラウドキッチンについては、責任の所在が明確で、厨房もきれいな状態に保たれていたと報告されています。

一方で、全国にあるとされるシェアキッチンの多くは単一の厨房を共有するタイプであり、衛生管理が十分に行き届いていないケースがあることも指摘されています。

さらに、マンションやアパートの一室、仮設物件などで営業している事例についても触れられており、食中毒などの事故につながるリスクが懸念されています。

つまり問題なのは「ゴーストレストランだから不衛生」ということではなく、営業形態が多様で、店舗によって衛生管理のレベルに差が生じる可能性があることです。

ゴーストレストランにも衛生管理のルールはある

もちろん、ゴーストレストランなら自由に料理を作って販売できるわけではありません。

通常の飲食店と同じように、営業内容に応じた営業許可などが必要です。

また現在は、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められており、衛生管理計画の作成や実施状況の記録などを行う必要があります。

そのため、適切な許可を取得し、衛生管理を徹底して営業しているゴーストレストランも数多くあります。

実際、ローソンのように既存店舗の厨房を利用して全国規模で展開しているケースもあり、ゴーストレストランという業態そのものを「衛生的に危険」と考えるのは適切ではないでしょう。

問題は、利用者から厨房や運営者の実態が見えにくいことです。

「どこで作っているのか分からない」が最大の不安材料

ゴーストレストランが今後さらに増えるのであれば、価格や便利さだけでなく「安心して注文できるか」も重要になります。

デリバリーアプリ上で店名だけを見るのではなく、運営会社や所在地、口コミなどを確認することも一つの方法でしょう。

店側にとっても、どこで調理しているのか、どのような会社が運営しているのか、衛生管理をどのように行っているのかを分かりやすく示すことが、消費者からの信頼につながります。

消費税1%への引き下げをきっかけにゴーストレストランが増える可能性が注目されていますが、店舗数の拡大と同時に、衛生管理と情報の透明性をどう確保していくのか。

これは今後、ゴーストレストランが広く定着するための大きな課題になりそうです。

店の実態が見えにくいという問題も

もう一つの特徴は、消費者から店の実態が見えにくいことです。

普通の飲食店なら、店舗の外観を見たり、店内の様子を確認したりできます。

ところがゴーストレストランでは、消費者が目にするのはデリバリーアプリ上の店名や料理の写真が中心です。

複数の専門店だと思っていたら、実際には同じ厨房から料理が届いていたということもあり得ます。

もちろん、それ自体に問題があるわけではありません。

重要なのは、どこで誰が作っているのか、衛生管理が適切に行われているのかといった情報を消費者が確認できることです。

今後ゴーストレストランがさらに増えていけば、こうした「店の見えにくさ」に対する信頼をどう確保するかも課題になりそうです。

ゴーストレストランが増えると普通の飲食店はどうなる?

今回の消費税引き下げが実施された場合、興味深いのは「外食」と「中食」の境界がこれまで以上に曖昧になることです。

これまでは、

「家で料理する」

「スーパーやコンビニで買って食べる」

「飲食店で食べる」

「料理をデリバリーしてもらう」

という選択肢は、それぞれ別の市場として考えられることが多くありました。

しかしデリバリーサービスが普及した現在では、飲食店の料理を自宅で食べることも当たり前になっています。

そこへ消費税1%という大きな変化が加わります。

従来型の飲食店も「店に客を呼ぶだけ」ではなく、店の厨房から料理を外へ販売することをさらに重視するようになるかもしれません。

場合によっては、一つの飲食店が、

昼は通常のレストラン、

夜はテイクアウト、

深夜は別ブランドのゴーストレストラン、

といった複数の顔を持つことも珍しくなくなるでしょう。

ゴーストレストランはこれから急増する?

ゴーストレストランは、コロナ禍によって生まれた一時的なブームと思われていた時期もありました。

しかしローソンが全国約1600店舗まで展開していることを考えると、すでに一つの販売方法として定着し始めていることが分かります。

さらに2027年4月から飲食料品の消費税率が1%へ引き下げられれば、デリバリーやテイクアウトには新たな追い風となる可能性があります。

ただし、配送手数料や人件費、原材料費などの問題がなくなるわけではありません。

そのため「消費税1%になればゴーストレストランが一気に儲かる」という単純な話ではないでしょう。

むしろ今回注目したいのは、飲食店のあり方そのものが変わる可能性です。

これまでの飲食店は「客に店まで来てもらう」ことが基本でした。

これからは、一つの厨房から複数のブランドを展開し、料理の方から客のところへ向かう。

ゴーストレストランの拡大は、そんな飲食業界の変化を象徴する存在なのかもしれません。

まとめ

ゴーストレストランとは、基本的に客席を持たず、デリバリーを中心に料理を販売する飲食店です。

一つの厨房から複数のブランドを展開できるため、新しい店舗を構えるより低コストで事業を始められるという特徴があります。

政府は2027年4月から2年間、現在8%の飲食料品の消費税率を1%へ引き下げる方針を示しています。

これが実施されれば、店内飲食10%に対して、テイクアウトやデリバリーは1%となり、その差は9ポイントまで広がります。

すでにローソンが全国約1600店舗でゴーストレストランを展開するなど、大手企業も動き始めています。

一方で配送手数料や店の実態が見えにくいといった課題もあり、ゴーストレストランがすべての飲食店に適した方法とは限りません。

それでも、消費税1%への引き下げが実現すれば、「店で食べる外食」と「家に届けてもらう中食」の関係は大きく変わる可能性があります。

今回ゴーストレストランがトレンドになった背景には、単なる新しい飲食店の流行ではなく、日本の食べ方そのものが変わるかもしれないという大きな変化があるのです。

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