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夜空に巨大なキャラクターや文字、立体的な映像を描き出す「ドローンショー」。
2025年の大阪・関西万博で連夜披露されたことをきっかけに、日本でも一気に身近な存在になりました。
その最前線を走っているのが、ドローンショーを企画・運営する「レッドクリフ」です。
そして同社を率いるのが、1994年生まれの佐々木孔明(ささき・こうめい)さん。
2026年8月放送の『情熱大陸』では、佐々木さんと若きクリエイター集団が、宮城県女川町や秋田竿燈まつりで新たなドローンショーに挑む姿が紹介されます。
ところで、ドローンショーを見ていると不思議に思うことがあります。
「数千機ものドローンをどうやって同時に操縦しているの?」
「空中でぶつからないの?」
「夜空に描く絵はどうやって作っているの?」
この記事では、佐々木孔明さんの経歴とともに、意外と知らないドローンショーの仕組みについてわかりやすく解説します。
佐々木孔明とは何者?
佐々木孔明さんは、ドローンショーの企画・運営などを手がける株式会社レッドクリフの代表取締役CEOです。
1994年12月、秋田県秋田市生まれ。
現在では大規模なドローンショーを手がける経営者ですが、もともと大学で学んでいたのはドローンでもプログラミングでもありません。
建築でした。
大学では建築を学んでいた
佐々木さんは関東学院大学の建築・環境学部に進学。
転機となったのは大学在学中でした。
バックパッカーとして世界各地を旅し、その旅にドローンを持っていったのです。
各地をドローンで撮影する一方、海外では日本以上のスピードでドローンが普及している光景を目にします。
街中でもドローンが飛び交う様子を見て、技術の進化と将来性に大きな可能性を感じたといいます。
帰国後には世界的なドローンメーカーDJIの日本1号店で、販売や講習、空撮などを経験しました。
2019年にレッドクリフを起業
2019年、佐々木さんは株式会社レッドクリフを設立します。
ただし、最初から現在のようなドローンショー会社だったわけではありません。
当初の中心事業はドローンを使った空撮でした。
大きな転機となったのが、海外で目にしたドローンショーです。
世界各地のショーを視察するなか、2021年から本格的に国内で大規模なドローンショーの企画・運営を開始しました。
「空から映像を撮るドローン」から「空そのものを表現の舞台にするドローン」へ。
佐々木さんの事業は大きく方向を変えていったのです。
レッドクリフとは?
レッドクリフは、ドローンショーの企画からデザイン、プログラミング、飛行運用までを手がける企業です。
ドローンを飛ばすだけではなく、
・どんな映像を夜空に描くのか
・どのように動かすのか
・音楽とどう組み合わせるのか
・安全に飛行できるか
といったショー全体を作り上げます。
つまりドローンショーは、航空技術だけで成立するものではありません。
映像、デザイン、音楽、プログラミング、飛行技術などを組み合わせた総合エンターテインメントなのです。
大阪・関西万博で一躍注目を集める
レッドクリフの名前を広く知らしめたのが、2025年大阪・関西万博でした。
万博では「One World, One Planet.」の一環として、1,000機規模のドローンショーを連夜実施。
開幕日には2,500機、閉幕日には3,000機を使った特別演出も行われました。
開幕日には1,749機によって巨大な「木」を夜空に描き、「ドローンによる最大の木の空中ディスプレイ」でギネス世界記録を達成。
さらに準備期間を含む2025年3月17日から10月13日までに、累計140,194機を飛行させ、「一年間に飛行させたマルチローター/ドローンの最多数」というギネス世界記録も樹立しました。
万博は、日本でドローンショーという新しいエンターテインメントが広く知られる大きなきっかけになったといえるでしょう。
H2 そもそもドローンショーはどうやって作る?
実際のドローンショーを見ると、数百機、場合によっては数千機が一糸乱れぬ動きを見せます。
これを見て、
「数千人がそれぞれドローンを操縦しているの?」
と思う人もいるかもしれません。
もちろん、そうではありません。
数百~数千機を人間が1機ずつ操縦するわけではない
ドローンショーでは、LEDライトを搭載した多数のドローンをプログラムによって制御します。
事前に、
「何秒後にどこへ移動する」
「高度をどこまで上げる」
「どの色で発光する」
といった動きを設計しておきます。
本番では、それぞれのドローンがあらかじめ決められた飛行ルートに沿って動くことで、巨大な映像が生まれるのです。
夜空に描く絵は「空中のピクセル」
考え方としてわかりやすいのが、テレビやスマートフォンの画面です。
画面は無数の小さな点「ピクセル」によって映像を表示しています。
ドローンショーの場合、その1つの点にあたるのが1機のドローンです。
例えば1,000機のドローンショーなら、夜空に1,000個の光る点を配置できることになります。
それぞれの点を移動させ、色を変えることで、文字、動物、人物、キャラクターなどさまざまな映像を表現できます。
平面的な絵だけではありません。
ドローンを前後左右、上下に配置すれば、立体的な表現も可能です。
大阪・関西万博の閉幕日には、2,200機を使い、縦約215メートル、横約185メートル、奥行き約60メートルという巨大な立体の「ミャクミャク」も描かれました。
夜空そのものを巨大なディスプレイに変えてしまう。
これがドローンショーの大きな魅力です。
デザインから本番までには多くの工程がある
もちろん、CGで映像を作ればすぐに飛ばせるわけではありません。
レッドクリフでは、まずショーのテーマやモチーフを決め、ドットイメージを制作します。
そこから飛行ルートをプログラミングし、シミュレーション映像で確認。
さらに実際の機体を使った事前リハーサルを経て、本番を迎えます。
つまり観客が見る10分ほどのショーの裏側には、デザイン、プログラミング、シミュレーション、飛行テストなど膨大な準備があるのです。
なぜ数千機のドローンが空中でぶつからない?
ドローンショーでもう一つ気になるのが、
「これだけ密集して飛んで、なぜぶつからないのか?」
という疑問です。
最大のポイントは、それぞれのドローンが好き勝手に飛んでいるわけではないことです。
1機ごとに飛行ルートを設計する
ドローンショーでは、各機体にそれぞれの飛行ルートが割り当てられています。
Aのドローンはこの位置からこの位置へ。
Bのドローンは別の位置へ。
それぞれが決められたルートを飛ぶことで、ドローン同士が危険な距離まで接近しないように設計します。
さらに映像が切り替わる際にも、単純に最短距離を移動させればいいわけではありません。
別のドローンのルートと交差すれば衝突する可能性があるためです。
華やかな映像の裏側では、数百、数千という機体の動きを同時に成立させる緻密な設計が行われています。
本番前のシミュレーションとリハーサルも重要
プログラム上で問題がないからといって、そのまま本番を迎えるわけではありません。
実際の飛行では、風や天候などさまざまな条件が影響します。
そのためシミュレーションだけでなく、事前リハーサルを行い、飛行プログラムに問題がないか確認します。
大阪・関西万博で半年近くにわたり大規模なショーを続けることができた背景には、華やかな演出だけでは見えない安全管理と運用技術があったと考えられます。
花火とドローンショーは何が違う?
夏の夜空を彩るものといえば、これまでは花火が代表的でした。
しかし近年、そこにドローンショーという新しい選択肢が加わりつつあります。
では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
ドローンなら文字やキャラクターを自在に描ける
ドローンショー最大の特徴は、具体的な形を表現できることです。
文字や企業ロゴはもちろん、動物や人物、キャラクターなども描くことができます。
さらに動きをつけることで、一つの映像から別の映像へ変化させることもできます。
花火が一瞬の光や色、音の美しさを楽しむものだとすれば、ドローンショーは夜空を使った「映像作品」に近い存在といえるでしょう。
ドローンは繰り返し使用できる
花火は打ち上げれば消えてしまいますが、ドローンは基本的に機体を回収して再利用できます。
プログラムを変更すれば、同じ機体でまったく違うショーを作ることも可能です。
一方で、ドローンショーなら何でもできるわけではありません。
風や雨などの気象条件に影響されますし、多数の機体を安全に離着陸させるスペースも必要です。
また花火特有の轟音や火薬の迫力は、ドローンでは再現できません。
そのため今後は「花火かドローンか」という二者択一ではなく、両者を組み合わせた演出も増えていくかもしれません。
女川の「ナイアガラ」をドローンで復活
今回の『情熱大陸』で注目されるプロジェクトの一つが、宮城県女川町です。
女川では、海上花火「ナイアガラ」が夏の風物詩として親しまれてきました。
しかし2011年の東日本大震災以降、そのナイアガラは途絶えていました。
そこで2026年、かつて町の人たちに愛された光景を数百機のドローンによって復活させるプロジェクトが動きます。
本物の花火をそのまま再現するのではありません。
かつて夜空を彩った記憶を、新しいテクノロジーによって現代によみがえらせる試みです。
ドローンショーが単なる派手なイベントではなく、地域の記憶や物語を表現する手段にもなり得ることを示すプロジェクトといえそうです。
秋田竿燈まつり270年の歴史にドローンが加わる
もう一つの大きな舞台が、佐々木孔明さんの故郷・秋田です。
東北三大祭りの一つとして知られる「秋田竿燈まつり」。
長い歴史を持つ伝統行事に、2026年、初めてドローンショーが加わります。
しかも、そのプロジェクトを率いるのが秋田市出身の佐々木さんです。
大学時代に世界を旅し、ドローンの可能性に魅せられた青年が起業。
大阪・関西万博という世界的な舞台で大規模なドローンショーを成功させ、今度はその技術を持って故郷へ帰ってくる。
今回の『情熱大陸』の中でも象徴的な場面になりそうです。
270年受け継がれてきた伝統と、最先端のドローン技術。
一見すると正反対にも見える二つが、秋田の夜空でどのように融合するのか注目されます。
佐々木孔明が目指すドローンショーの未来
ドローンはもともと、空撮や測量、点検、物流など「便利な道具」として発展してきました。
しかし佐々木孔明さんたちが取り組んでいるのは、ドローンを「人を感動させる道具」に変えることです。
レッドクリフは「夜空に『驚き』と『感動』を」をミッションに掲げています。
万博では数千機という圧倒的なスケールで観客を驚かせました。
一方、女川では失われた夏の風景をよみがえらせ、秋田では270年の伝統と最新技術を結びつけようとしています。
同じドローンでも、描くものは場所によってまったく違います。
そこにある歴史や文化、人々の思いをどう夜空に描くのか。
これからのドローンショーでは「何機飛ばしたか」という規模だけではなく、「夜空で何を伝えるか」がますます重要になっていくのかもしれません。
まとめ
佐々木孔明さんは1994年秋田県生まれ。
大学で建築を学びながら世界を旅し、ドローンの可能性に魅せられ、2019年にレッドクリフを起業しました。
そして空撮を中心とした事業からドローンショーへと進み、大阪・関西万博では大規模なショーを成功させ、ギネス世界記録も樹立しました。
私たちが何気なく見ているドローンショーも、その裏側を知ると印象が変わります。
数百~数千機のドローンを1機ずつ「空中のピクセル」のように配置し、飛行ルートと発光をプログラム。
シミュレーションやリハーサルを重ねたうえで、ようやく数分から十数分のショーが完成します。
そして2026年夏、佐々木さんたちが挑むのは、女川の記憶をよみがえらせる「ナイアガラ」と、故郷・秋田の伝統ある竿燈まつりです。
花火が長い間担ってきた「夏の夜空の感動」に、ドローンという新しい表現が加わり始めています。
ドローンショーは花火に代わるものなのか、それとも花火とともに新しい夜空の文化を作っていくのか。
『情熱大陸』で描かれる佐々木孔明さんと若きクリエイターたちの挑戦は、その未来を考えるきっかけにもなりそうです。


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