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グリーンランドの氷河に何が起きている?杉山慎教授が見つめる“異変”と日本への影響【情熱大陸】

グリーンランドの氷河に何が起きている?杉山慎教授が見つめる“異変”と日本への影響【情熱大陸】 話題・トレンド

2026年9月6日放送の『情熱大陸』に登場するのは、雪や氷を専門に研究する「雪氷学者」の杉山慎(すぎやま・しん)教授です。

北海道大学低温科学研究所教授で、長年にわたって北極や南極の氷河・氷床を調査してきた世界トップクラスの研究者です。

今回、番組の取材カメラが同行したのが、夏のグリーンランド。

番組では「夏のグリーンランドで見つけた異変」と紹介されています。

日本から遠く離れた北極圏の巨大な島で、いったい何が起きているのでしょうか。

グリーンランドの氷の変化は、単に「寒い場所の氷が溶けている」というだけの問題ではありません。世界の海面上昇や将来の気候を考えるうえで、非常に重要な意味を持っています。

そして、その影響は日本とも無関係ではありません。

この記事では、グリーンランドの氷河で何が起きているのか、なぜ世界中の研究者が注目しているのか、そして杉山慎教授が現地で何を調べているのかを見ていきます。

グリーンランドの氷河で今、何が起きている?

グリーンランドは北極圏に位置する世界最大の島で、その大部分が巨大な氷の塊である「氷床」に覆われています。

このグリーンランド氷床は、場所によっては厚さが数千メートルにも達します。

しかし現在、その氷が減少を続けています。

原因の一つが、地球温暖化による気温上昇です。

夏になると氷床の表面で雪や氷が溶け、できた水が川のように流れたり、氷の割れ目から内部へ入り込んだりします。

さらに重要なのが、海へ流れ込む氷河の変化です。

陸上の巨大な氷床はゆっくりと海へ向かって流れており、その先端では巨大な氷の塊が割れて海へ落ちます。

この現象は「カービング」と呼ばれます。

気温や海水温、氷河の下を流れる水など、さまざまな条件によって氷河の流れる速度や先端の位置が変化します。

つまり研究者が見ているのは、

「氷が何センチ溶けたか」

という単純な問題だけではありません。

氷河そのものがどのように動き、どのような仕組みで海へ氷を送り出しているのかを明らかにする必要があるのです。

詳しくお知りになりたい方はこちらの本をどうぞ。

Amazon.co.jp: 南極の氷に何が起きているか-気候変動と氷床の科学 (中公新書, 2672) : 杉山 慎: 本
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なぜグリーンランドの氷が世界から注目されている?

グリーンランドの氷が特に注目される最大の理由が「海面上昇」です。

海に浮かんでいる氷が溶ける場合と違い、グリーンランド氷床の大部分は陸地の上にあります。

そのため陸上の氷が溶けて海へ流れ込めば、その分だけ海水の量が増えることになります。

グリーンランド氷床には、すべて失われた場合に世界の平均海面を約7メートル上昇させるだけの氷が存在するとされています。

もちろん、これは「近いうちにグリーンランドの氷が全部なくなり、海面が7メートル上がる」という意味ではありません。

氷床全体の消失は非常に長い時間スケールで考える問題です。

重要なのは、現在進んでいる氷の減少が今後どの程度の速さで続き、将来の海面上昇にどれほど影響するのかという点です。

その予測を正確にするためにも、実際の氷河で何が起きているのかを観測する必要があります。

氷河は「溶ける」だけではなく「動いている」

氷河というと、巨大な氷が同じ場所にずっと存在しているように思うかもしれません。

しかし実際の氷河は動いています。

高い場所に積もった雪が長い年月をかけて圧縮されて氷となり、その巨大な重みによって少しずつ低い場所へ流れていきます。

その速度を左右する重要な場所の一つが「氷河の底」です。

氷河の下に水が入り込めば、氷と地面との摩擦が変わり、氷河の動きにも影響する可能性があります。

そして海まで達した氷河では、海水との接触やカービングによって氷が失われていきます。

この複雑な仕組みを解明することが、将来の氷河変動を予測するうえで重要になります。

杉山慎教授が得意としているのも、まさにこうした氷河の底面や先端部を直接観測する研究です。

杉山慎教授はグリーンランドで何を調べている?

杉山教授の研究の大きな特徴は、「現場」にあります。

人工衛星によって宇宙から氷河を観測する技術は大きく進歩しました。

しかし、それだけでは分からないこともあります。

例えば、氷河の底で何が起きているのか。

海と接する氷河の先端で、どのように氷が失われているのか。

氷河がなぜ速くなったり遅くなったりするのか。

こうした現象を理解するには、実際に氷河へ行って観測することが重要になります。

『情熱大陸』の取材でも、杉山教授は自らドリルを使って氷河に穴を開けています。

さらにドローンを使った観測の精度を高めるため、ガレ場を歩き回り、半日かけてGPSのマーカーを設置し、位置座標を何度も測定します。

世界的な研究者という言葉から想像する研究室での姿とは、かなり違います。

極地を歩き、氷に穴を開け、機材を設置して自分の目で氷河を見る。

杉山教授が「現場」を重視する理由も、ここにあるのでしょう。

グリーンランドの氷が溶けると日本にも影響する?

「グリーンランドの氷が溶けている」と聞いても、日本からはあまりにも遠いため、自分たちには関係のない話に感じるかもしれません。

しかし、海は世界中でつながっています。

グリーンランドなど陸上の氷が失われることは、世界的な平均海面上昇を引き起こす要因の一つになります。

日本も四方を海に囲まれ、多くの都市や産業施設が沿岸部に集中している国です。

海面が高くなれば、高潮などが起きた際の浸水リスクにも影響します。

さらにグリーンランド周辺で大量の淡水が海へ流れ込むことによる海洋環境への影響も研究されています。

ただし、海流や気候は非常に複雑なシステムです。

「グリーンランドの氷が溶けたから日本で特定の異常気象が起きる」というような単純な因果関係で説明できるものではありません。

だからこそ、実際のデータを積み重ねて変化の仕組みを明らかにする研究が重要なのです。

杉山慎教授はなぜ会社員から氷河研究者になった?

杉山慎教授の経歴も非常にユニークです。

1969年、愛知県生まれ。

大阪大学大学院を修了した後、最初から氷河研究者になったわけではありません。

信越化学工業に入り、ガラスや半導体部品などの先端デバイス開発に携わっていました。

その後、青年海外協力隊に参加。

そして人生を大きく変えるきっかけの一つとなったのが「山登り」でした。

もともと物質を研究してきた経験と山への関心が結びつき、氷河研究の世界へ進んでいきます。

北海道大学で研究を続けた後、スイスの名門・スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)にも留学。

現在は北海道大学低温科学研究所教授、北極域センター長を務めています。

会社員から青年海外協力隊を経て、世界的な氷河研究者へ。

最初から一直線に研究者を目指したわけではないところも、杉山教授の興味深いところです。

杉山慎教授が世界トップクラスと評価される理由

杉山教授は南極へ通算4回、北極圏では15年にわたって現地調査を続けてきました。

特に専門としているのが、氷河・氷床の変動です。

中でも、氷河の底面や海と接する先端部など、観測が難しい場所を直接調べる研究で国際的な成果を上げています。

2025年には、欧州地球科学連合(EGU)の雪氷寒冷圏科学部門における「Julia and Johannes Weertman Medal」を受賞しました。

番組紹介によれば、欧米以外の研究者として初めての受賞です。

さらに国際的な雪氷研究の分野でもリーダーとして活動し、次世代の極地研究者を育成する教育にも携わっています。

単に「氷河を研究している日本人」ではなく、世界の氷河研究を牽引する研究者の一人というわけです。

氷河研究は「未来を予測するための研究」でもある

氷河研究というと、一見すると非常に専門的で、私たちの日常生活から遠い学問に感じます。

しかし実際には、研究者たちが氷河で集めているデータは、将来の地球を予測するための重要な材料になります。

氷河はどれくらいの速度で動くのか。

どれくらいの氷が海へ流れ出しているのか。

気温や海水温が変化すると、氷河はどう反応するのか。

こうした現象を理解しなければ、将来の海面上昇を正確に予測することも難しくなります。

杉山教授は研究について、自分が好きなことと社会の役に立つこととの「もたれあい」だと表現しています。

自分が面白いと思う氷河を研究する。

その研究結果が、地球環境の変化を理解し、未来を考えるための材料になる。

研究者として非常に興味深い姿勢ではないでしょうか。

まとめ|遠いグリーンランドの「異変」は私たちともつながっている

グリーンランドで起きている氷河や氷床の変化は、北極圏だけの問題ではありません。

陸上の巨大な氷が失われれば、世界の海面上昇につながります。

そして海に囲まれた日本も、その影響と無関係ではありません。

ただ、「氷河が溶けている」という事実だけでは、将来どのような変化が起きるのかを正確に予測することはできません。

氷河はなぜ動くのか。

なぜ速くなるのか。

氷河の底や海と接する先端では何が起きているのか。

その答えを求めて、杉山慎教授はグリーンランドや南極などの過酷な現場へ足を運び続けています。

会社員から青年海外協力隊を経て氷河研究の世界へ入り、現在では世界トップクラスの研究者となった杉山教授。

9月6日の『情熱大陸』は、一人の研究者の姿を通して、遠いグリーンランドで起きている変化が私たちの未来とどうつながっているのかを考える機会になりそうです。

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